昨夕、久しぶりにアルリ舎を訪ね、真理子さんと跡部さんに再会しました。かねてから「本物の星を見ながらリアルタイムで星空解説をしてお客様をおもてなししたい。そんな誰もが居心地良く集える場所を八ヶ岳方面に作りたい」と彼らの夢を聞いていた私です。19年後の今、もう間もなく「星つむぐ家」が完成しようとしており、二人はカーテンをかけるべく窓の寸法を測っていました。
感慨もひとしお。しあわせの気持ちを全身に行き渡らせるよう、しばし一人こっそり、アルリ舎のピアノに触れてポロポロと奏でながら二人の仕事を終えるのを待ちました。
そして、ついに待ちに待ったブルームーン開栓の時を迎えました。跡部さん用はウイルキソンジンジャーエール&オレンジ、私たちにはブルームーン&オレンジ。
最近覚え立てのブルームーン&ビールを熱く解説する桂子。「いやいや、ブルームーンの周期より、メトン周期がもっとすごいよ。19年前私たちが出合った時と、今年同じ月の位相だよ!ところで、メトンって何の名前?」と真理子さん。すかさず調べて「人の名前だ!紀元前435年ギリシャの数学者メトンが”19年周期”を発見したんだって!ふ~ん、太陰太陽暦の誤りを正すために提案したのか・・・」と跡部さん。食卓にはアルリ舎の畑で採れた新鮮野菜の料理が並び、何とも愉快な宴です。
夕食後跡部さんは早々に席を立って、星空観察&撮影へ。残された我々は、もう一缶。冷蔵庫にあった「桃と紅茶のお酒」をいただきました。なんとも優しく、すてきなお味で心がほどけていきます。メトン周期に倣って、2004年「いのちの星地球」制作時に話しそびれていた話、その後今日までの長い私のトンネル話を真理子さんに聞いてもらいました。途中何も知らぬ跡部さんが度々出入りして、撮影のために電気を次々に消して、ついに室内は真っ暗に。
「今夜はすごいよ!」の声に誘われ、外に出てみました。目が暗闇に慣れるほどに、星空がくっきり明らかに。リクライニングチェアに寝そべり、しばし煌めく星空の下でたゆたいながら星浴タイム。
「あ、あそこに一つ離れて見える星は緑やオレンジに変わってまるでネオンみたい!」と桂子。「あれはね、フォーマルハウト。南の魚座で魚の口だよ。低いところを移動していくから色が良く見えるんだよ。秋の代表的な星の一つで、”南の一つ星”っていわれているよ」と真理子さんの生解説。「あ、あれはカシオペア座だね!じゃあ、北斗七星は・・・、そうすると北極星は?そもそも、なんで北極星は動かないのかな?」と桂子質問次々。「ほら、あそこに北極星。北極星は地球の軸の先にあって一緒に動いているから、まるで動いていないように見えるんだよ。でもいつかその軸がずれて北極星が動いて見えるようになるのかもね。でもそれはず~っと先の話だよ」と真理子さん生解説続く。
時々一緒に大好きな歌を口ずさんだり、桂子「メトン周期続きの話し」が溢れ出したり・・・。
そんな間に、いくつも流れ星がこぼれ落ちました。三人が同時に「あ!」と歓声を上げる時は最高に嬉しい、時には二人、時には一人と。私はかなりの確率で流れ星を見ることが出来ました。本物の星空の下、それは贅沢なしあわせ時間を過ごしました。
朝は一人で迎えました。気持ちよく目覚め、昨晩の”素晴らしい夏の想い出”を形に残したくて「しそ味噌」、「トマトピューレ」、「柴漬け」を次々に作りました。(BGMはやっぱりサザンの「真夏の果実」など。夏の終わりはこの曲に限ります。桑田佳祐さんが、いつも桑田佳祐さんであって人々を魅了し、勇気づける姿にいつも心を打たれてしみじみしあわせを感じて涙してしまう私です。同時に料理への愛情が倍増するのでこの時期に必須。)
そして今年、「メトン周期」が巡り、こうして再び真理子さんと跡部さんと重なり合えたことを記念して「ブルームンピクルス」を仕込みました。星つむぐ家のお披露目時に、そのお味でおもてなしできたらと思っています。
お目にかかれるその日を、心より楽しみにしております。それまで皆様お元気にお過ごし下さい。ごきげんよう。