おはようございます。今週は大部分を北杜市で過ごし、濃縮した時間を過ごしていました。あちらは随分と冷え込み、腹巻きや熱い靴下始め、長いダウンジャケットやモコモコブーツが必須と感じました。この冬、私を温かく包んでくれる良質なものを入手予定です。
さて、そんな訳でエッセイを書くのは久しぶり。この”おごたまホームページ”を開くと我が家に帰ってきたようでほっとします。今朝は「味噌がんつき」を作り、明日開催予定の味噌作り&味噌を楽しむワークショップ用の準備を着々と進めています。
がんつきは、宮城県全域や岩手県南地方の郷土料理で漢字で書くと「雁月」。ふかふか・もちもちの蒸しパンで、重曹と酢を化学反応させて膨らませることに特徴あり。名の由来は、雁の肉のような食感であるとか、雁と月を模したとか。私は断然、後者の由来が好みです。
渡り鳥・雁は10月頃、冬を越すために北国から日本に渡ってきます。収穫の秋は、いつにも増して月が美しく輝き、そこに北国から渡り来たばかりの初雁が月を横切る風物詩を古くから日本人は愛おしんできました。
所は仙台地方。秋の刈り入れの際、農家の台所にあるあり合わせを集めて精一杯の感謝とお祝いの気持ちを表し、丸い月に黒ゴマを雁に見立てて散らして作ったのが「がんつき」の始まりなのだそう。なんと美しく、豊かな風情でしょう!
となりますと・・・。今まで私にとって「がんつき」は一年中手軽に作れる「時知らず」だったのですが、季節は雁到来の秋から、雁が北国へ帰って行く春直前の「季節限定」の蒸し菓子であることが判明しました。そして型は四角ではなく、月形の丸。ゴマは白ではなく黒。今までバラバラ無作為に散らしていたゴマは、雁の飛翔姿を思い浮かべながら勇ましくV字、時に頼もしく愉快にM字を描くものであると今朝、初めて理解しました。
長年の誤りを正し、今後は本来のがんつき作りを実践開始。「がんつき」に想いを込め、春の間際まで作っていきたいと思います。
転んだら、立ち上がるまで少々時間を要しますが、”何か宝もの”を見つけて再び歩き出すのが私の特技です。
月に魅了されている私。この「がんつきの失敗談」に良きヒントを得、食べもの研究家として「月のお菓子」をテーマの一つに取り組んで行くことに決めました。今後、折に触れて”月の食べもの”をご紹介していく予定です。どうぞ楽しみにお待ちください。