子どもの頃、ピアノを習っていました。その頃は楽しさが分からなくて、98%が苦痛と重荷、緊張で占められていたように思います。
大人になってピアノの音色の美しさに気付き、少し弾いてみてはしばらくお休みし・・・。2,3度繰り返したでしょうか。
東日本大震災があった日のことをよく覚えています。某ガス会社に勤務していたので、多数のご家庭のガスメーターが落ち、電話が鳴り止まず。それは緊迫した非常事態でした。
私は炊き出し係を命じられ、スタッフのために、無我夢中でただひたすらご飯を炊き、梅干し入りのおむすびを握り続けました。
21時過ぎ、ようやく帰路となり、街明かりが消えていた様子を目の当たりにして”非常事態が起きていたこと”を身をもって実感しました。
自宅マンションのエレベーターは止まり、歩いて到着した我が家は目茶苦茶。その当時大切に育てていたメダカは床に転げ、額縁が落ちてガラスの破片は粉々に。アップライトのピアノが1mくらいせり出していて、その揺れの恐ろしさを改めて体感し、一人泣きながら片付けをしました。
後日、計画停電が実施されました。初めてのその晩、キャンドルを灯してピアノを弾きました。数年ぶりに弾くピアノ、全く上手に弾けないのだけれど、そうせずにはいられず、祈りのような願いを込めて小さな音でポロリポロリと気が済むまでしばらく弾き続けました。
それから時は随分と流れ、昨晩秋の昼下がり、甲府駅を通った際に優しいピアノの音が流れてきました。吸い寄せられるように音に近づいて行き、しばし魅入ってしまいました。そして「駅ピアノ」が常設されていたことを知りました。
「12月にはクリスマスソングを弾こう♪」と思い立ち、久しぶりにピアノの練習を始めました。今はとても楽しく、ピアノを弾く時間が私にとって大切な癒やしの時間です。「年を重ねて大人になるって素晴らしいことだなぁ」としみじみ・・・。一人で12月、1月、2月と「駅ピアノ」を実施しています。
誰のためでない、自分のために弾く。
その音色がもしかしたら雑踏の中で誰かの心に響き、ほんの一瞬、心を喜ばせるかもしれない、そんな淡い期待を持って継続しています。
2月タイトスケジュールの中、ぎりぎり仕上げて最終日、坂本龍一さんの「Put your hands up」を弾きました。
3月選んだのが「花は咲く」(しかも辻井伸行の難しいバージョン‼)を目下練習中。
先日の11日、「今日弾かずして、いつ弾く⁈」と心の声が鳴り止まず、まだ仕上がっていないながらも臆することなく、そっと静かに、まるであの計画停電の晩のごとくに弾いてきました。
皆それぞれに思いを寄せてお過ごしなさったように、私も私なりの形でピアノを弾きながら3.11を思いおこすと共に、思いを新たにしました。
”近年の3月、どこかの駅ピアノに仲間を集めて「花は咲く」を合奏しよう”という野望も生まれました!臆せず、諦めずに準備していけば、きっと実現出来ると信じています。
まず”ぽけれ”より始めよ”。
ひとまず3月中に、甲府駅ピアノ「花は咲く」、再チャレンジする計画です♪
